高血圧症は基本的な生活習慣を見直すことによって改善できます。
そもそも、どうして高血圧が良くないのかご存じですか?血圧が高くなると、脳卒中の危険が高いことは明らかです。
もちろん、高血圧症の怖さは脳卒中だけではなく、脳以外にも多くの臓器・部位にさまざまなかたちで悪影響(=合併症)が現れます。
高血圧症を治療するのは、そうした合併症を未然に防ぐためです。
高血圧症とは
血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のことです。よく、血圧の“上”とか“下”という言い方をしますが、上は心臓が収縮して血液を送り出したときの「収縮期血圧(最高血圧)」のことで、下は心臓が拡張したときの「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。
収縮期血圧が140㎜Hg以上、拡張期血圧が90㎜Hg以上のとき、高血圧と診断されます。
血圧は、心臓から押し出される血液の量(心拍出量)と、血管の太さ(正確には血管内径)・血管壁の弾力性によって決まります。
血液の量が多ければ血管の壁に強い圧力がかかり、高血圧になります。
また、末梢の血管がなにかしらの理由で収縮したり、または血管が硬く細くなると血圧が上がります。
血圧の変動
血圧を上げるもの
塩分の摂りすぎ/加齢/ストレス/激しい運動をしたとき/寒さ(冬)/外気温の急変(入浴時の脱衣やいきなり熱いお風呂に入ったとき、冬季に暖かい室内から外出するときなど)/睡眠不足/過度のアルコール摂取/便通時などの力み/日常の運動不足/肥満・過体重/遺伝による体質/動脈硬化などの病気/性格(すべてを一人で抱え込むタイプの方)
血圧を下げるもの
休養/睡眠/運動習慣/暑さ(夏)/入浴(ぬるめのお湯で)/少量のアルコール摂取
高血圧症の治療
高血圧症の治療は、減塩と減量が基本といわれています。
塩分は水分を引きつける作用があり、そのため血液量を増やしますし、同時に血管を収縮させ血圧を上げます。
急に厳しい減塩に取り組むと続かなくなりますから、無理のない程度の減塩から始めましょう。
運動は、血管を広げて血行をよくし血圧を下げます。また、減量やストレス解消にもよく、高血圧の治療には欠かせません。
ただし、急に激しいスポーツを始めるのではなく、医師の指導を受け、ウォーキング(早歩き)などの毎日気軽にできる運動から始めましょう。
1分間の脈拍が100〜120(10秒で約20)になる程度の運動を、1回1時間なら1日おき、1回30分なら週に5〜6日行うとよいでしょう。
アルコールは少量なら血圧を少し下げますが、飲みすぎると血圧が上がり心臓の負担も増えます。
目安として、1日に日本酒で1合、ビールなら中ビン1本までがよいといわれています。
喫煙は血管を収縮させたり血管壁を傷つけ、動脈硬化の進行を早めるので、合併症の危険がより高くなります。
高血圧は様々な合併症を引き起こすリスクがあるため、血圧のコントロールが非常に重要です。
そのために生活習慣を見直し、食事の改善や運動習慣をつけるなど、できることから始めていきましょう。
それでも血圧が下がらなければ、降圧薬を内服することになります。