高血圧の薬を飲んでいるのですが、薬を飲んでも下がりません。先生には生活習慣を見直すしかないと言われましたが、具体的にどのようにすればよいのでしょうか?

高血圧症の治療は生活習慣の改善が基本です。
現在の生活習慣を見直し、できるだけ規則正しい習慣へ変えることができれば、血圧も落ち着いてきます。

どのような生活習慣が理想的なのか、以下で説明します。

高血圧症とは

血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のことです。

血圧は、心臓から押し出される血液量(心拍出量)、血管の太さ(正確には血管内径)、血管壁の弾力性によって決まります。
血液の量が多ければ血管の壁に強い圧力がかかり、高血圧になります。
また、末梢の血管がなにかしらの理由で収縮したり、または血管が硬く細くなると血圧が上がります。

収縮期血圧が140㎜Hg以上、拡張期血圧が90㎜Hg以上のとき、高血圧と診断されます。

血圧が高くなると、脳卒中の危険が高いことは明らかですが、そのほか脳以外にも多くの臓器・部位にさまざまなかたちで悪影響(=合併症)が現れます。高血圧の治療は、そうした合併症を未然に防ぐためにも非常に大切な治療となります。

血圧コントロールに必要な生活

血圧のコントロールに必要な食生活は減塩です。

塩分は水分を引きつける作用があり、そのため血液量を増やしますし、同時に血管を収縮させ血圧を上げます。
急に厳しい減塩に取り組むと続かなくなりますから、無理のない程度の減塩から始めましょう。

1日1gの減塩収縮期血圧が約1㎜Hg低下することが報告されています。
外食時にどのお店も味付けが濃いと感じるようになったら、塩分控えめの食生活が定着してきたといえます。
食塩は1日6g未満が目標です。

減塩のポイント

  • 調味料は少なめにする
  • だしのうまみを生かす
  • 食酢やかんきつ類の酸味、香辛料を使って味付けにアクセントを
  • 減塩しょうゆや減塩みそ、ナトリウム含有量が少ない塩(カリウムが多い塩)を使う
  • 一品に集中して食塩を使い、あとは無塩で
  • 麺類のスープは飲まない
  • 漬物や汁物は少なめに
  • 料理全体に味をつけるのではなく、料理の表面に味付けを
    (例えば魚料理は、煮付けるよりも焼き魚か付けしょうゆで)
  • うす味に慣れ、食材のもっている味を楽しむ
  • 新鮮な食材を使って料理する
  • インスタント食品はできるだけ控える

からだを動かし、気分転換をしましょう

運動は、血管を広げて血行をよくし血圧を下げます。また、減量やストレス解消にもよく、高血圧の治療には欠かせません。
ただし、急に激しいスポーツを始めるのではなく、医師の指導を受け、ウォーキング(早歩き)などの毎日気軽にできる運動から始めましょう。
1分間の脈拍が100〜120(10秒で約20)回になる程度の運動を、1回1時間なら1日おき、1回30分なら週に5〜6日行うとよいでしょう。

また精神的ストレスは、血管を収縮させて血圧を上げます。
かといってストレスをすべて排除することなど不可能ですから、趣味社会活動などの気分転換になる時間を作ってみましょう。

また、疲れた心を休めるため、睡眠は十分とりましょう。寝不足は高血圧の原因の一つです。

飲酒・喫煙について

アルコールは少量なら血圧を少し下げますが、飲みすぎると血圧が上がり心臓の負担も増えます。
目安として、1日に日本酒で1合、ビールなら中ビン1本までがよいといわれています。

喫煙は血管を収縮させたり血管壁を傷つけ、動脈硬化の進行を早めるので、合併症のリスクがより高くなります。

まとめ

高血圧の治療として降圧薬を内服することも大切ですが、食事運動習慣を見直すことで血圧が下がることが多いです。自分で振り返って対策がわからなければ、医療者に相談してみるのが良いでしょう。

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