腰痛は大きく分ければ器質的な腰痛と非特異的な腰痛の2つに分けることができます。
原因がはっきりしている腰痛=器質的腰痛
はっきりしない腰痛=非特異的腰痛
ひと昔前までは非特異的腰痛が8割程度といわれていましたが、画像検査や診断方法の進歩に伴って原因がわかるようになりました。
しかしながら半分以上原因がはっきりしない腰痛という状況は変わらないと思います。
腰痛の原因
原因がはっきりしている腰痛
画像検査ではっきりわかる疾患
- 腰椎圧迫骨折
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 悪性腫瘍の脊椎転移
- 仙腸関節障害
- 化膿性脊椎炎(背骨に菌が感染する)
原因がわからない腰痛
心理社会的背景が影響している腰痛
- 交通事故によって起きた腰痛被害者という意識が絡んでいる場合
- 離婚調停中、介護中など心理的ストレスを感じている場合
- うつ病や自律神経失調など精神面にトラブルを抱えている場合
はっきりとした原因がないのに腰痛が生じるわけ
なぜ心理社会的背景が影響して腰痛が生じるの、明確な答えはありませんが、中枢神経(大脳)がかかわっているのではないかと考えられています。
それでは腰椎のレントゲンやMRIに何か異常が出るわけはありませんよね。
腰痛の診断はむずかしく、奥が深い
もし腰痛に足のしびれが伴っているのであれば診断は比較的容易になります。高齢者であれば腰部脊柱管狭窄症、若年者であれば腰椎椎間板ヘルニアであることが多いです。
ただしそれを確定診断するにはMRIを撮らなければなりません。またよくあるぎっくり腰は画像検査を行っても何も異常がありません。その場の状況や痛みの性質から判断して診断します。ちなみにぎっくり腰は俗称で正確には急性腰痛とよびます。
国民調査によりますと腰痛は最も多い症状の一つです。腰痛症の有訴者数は93人(人口対千)であり、通院者数は40人(人口対千)です。高血圧に続いて通院者の多い疾患であります。それに伴い我が国での医療費は増加し、特に慢性化した場合は社会問題にもなると考えられます。もし腰痛を自覚されたら病院へ行くことをおすすめしますが、腰痛症ですといわれ経過を見ましょうという展開になることもあるかもしれません。治りやすい腰痛と治りにくい腰痛があるのも事実で担当医と相談しながら治療していくことをおすすめします。
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この記事は、BIG TREE. 荻窪クリニックの院長、榎本達也が監修しています。
【資格】
ペインクリニック学会専門医
東京都かかりつけ医認知症研修終了
【経歴】
2005年 順天堂大学医学部卒業
2005年 公立学校組合共済 関東中央病院 内科研修医
2007年 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック 講座入局
2011年 順天堂大学大学院卒業(痛みと抗うつ薬に関する論文にて学位授与)
2014年 米国Boston scientific surgical centerにて脊髄刺激電極について研修
2015年 武蔵野陽和会病院 整形外科医員
2022年 BIGTREE.荻窪クリニック院長就任