腰痛になってしまいました。治し方にはどのようなものがありますか?

腰痛は来院する患者様がとても多い症状の一つです。

実際日本整形外科学会の調査によれば、腰痛の有病率が38%(男性34%、女性39%)であることが報告されています。国民の3人に一人は経験する症状であり、大変多い数と考えられます。 

みなさんは腰痛が出た時どうされますか?
整形外科に行く人もいれば、整体に行く人もいれば、シップをはって我慢するというひともいるでしょう。

今日は腰痛が出た時、整形外科ではどんなことをするのかについてお話していきます。

1.運動療法

理学療法士や柔道整復士とともに行う治療です。マッサージとは少し異なり、体の姿勢のバランスを整えたり、体幹の筋力訓練をしたりすることで腰痛を改善させます。即効性がある治療ではないのですが、原因を根本から見直すことができるので有用な治療法だと考えられます。

2.物理療法

牽引や電気治療、または局所を温めることによって鎮痛効果をもたらすやり方です。運動療法とは異なり機械や器具が治療をしてくれるものです

3.内服治療

腰痛は鎮痛剤を飲む内服治療が効果的であることが多いです。

一番処方が多いものは非ステロイド系消炎鎮痛薬(ロキソニン セレコックス ボルタレン カロナールなど)です。炎症を抑える意味ではカロナール以外のものが優秀なのですが、胃粘膜障害や腎障害など長く飲むと問題が出る場合もあり医師と相談しながら内服をします。

それより強い鎮痛薬も時に使用されます。いわゆるオピオイドと言われるものです。弱い麻薬のような薬ととらえていただいてよいと思います。トラムセット、トラマドール、ツートラム ワントラムなどの製品がこれにあたります。副作用として眠気や吐き気を催すこともあり医師との相談が必要です。

ほかには筋弛緩薬を補助的に使うこともあります。腰痛の原因はさまざまなのでいろんな薬の組み合わせが必要になることが多いです

4.ブロック治療

ブロック治療とは、痛みのある神経や関節に局所麻酔薬やステロイド剤を注射して、痛みを軽くさせるものです。

ブロック治療も様々ですが、腰痛に行うブロック治療を上げていきます。

単純に痛みの出ている場所、筋肉に局所麻酔薬を注入するトリガーポイントブロック。簡便にできますので患者さんにとっても楽な治療です。

硬膜外ブロック脊髄の周りの硬膜という膜の外まで針をさしてそこに局所麻酔薬やステロイドを注入します。この注射は感染や出血、頭痛などの合併症もあるためそう手軽にはできませんが、医師との話し合いのもと行うことができます。

・腰痛の原因が仙腸関節にありそうな場合に行う仙腸関節ブロック仙腸関節とは背骨と骨盤の継ぎ目にあたります。超音波を使用し仙腸関節を同定して薬を注入します。硬膜外ブロックに比べるとリスクも少なく手軽に行えるブロック治療です。

以上整形外科でできる腰痛治療を4つにまとめてみました。
痛みの度合いや患者さんの状況に応じて取り入れる治療法は異なります。

参考になれば幸いです。

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この記事は、BIG TREE. 荻窪クリニックの院長、榎本達也が監修しています。

【資格】
ペインクリニック学会専門医
東京都かかりつけ医認知症研修終了

【経歴】
2005年 順天堂大学医学部卒業
2005年 公立学校組合共済 関東中央病院 内科研修医
2007年 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック 講座入局
2011年 順天堂大学大学院卒業(痛みと抗うつ薬に関する論文にて学位授与)
2014年 米国Boston scientific surgical centerにて脊髄刺激電極について研修
2015年 武蔵野陽和会病院 整形外科医員
2022年 BIGTREE.荻窪クリニック院長就任

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