デスクワーク従事者の方の腰痛予防について、詳しくご説明させていただきます。
腰痛予防には、「姿勢管理」「環境整備」「運動療法」「生活習慣」の4つの要素が重要です。順を追って具体的に解説していきます。

1. 正しい座り姿勢を保ちましょう
腰痛予防の基本は、良い姿勢を保つことです。デスクワークの際には以下の点に注意しましょう
- 骨盤を適度に起こし、腰の骨にかかるストレスを軽減させます
- 肩甲骨を軽く寄せ、胸を開いた姿勢
- 股関節、膝関節は約90度に保持
- 両足が床にしっかりつく高さに椅子を調整
- パソコンモニターの位置は目線よりやや下に設定


2. 職場の環境整備
作業環境の改善は腰部負担の軽減に直結します。特に最近では、リモートワークも増えてきているので、ご自宅での仕事環境の整備も大事になってきます
- エルゴノミクスチェアの使用(腰椎サポート機能付き)
- デスクの高さは肘の位置に合わせる
- 必要に応じて足台を使用(両足はつけるようにしましょう)
- 作業に必要な物は手の届く範囲に配置
3. 効果的なストレッチと運動療法
以下の運動を1日3回程度実施することをお勧めします
腰周りのストレッチ
- 骨盤を背もたれへ寄りかからせるエクササイズ
- 腰を左右へねじるストレッチ
- もも裏のストレッチ


お腹周りの筋力強化
- 仰向けで腰をベッドへ押し当てる運動
- 寝ながらのお尻上げ運動(ブリッジ運動)
- お尻上げを横から行う運動(サイドブリッジ)
- 四つん這いでの骨盤前後運動(バードドッグエクササイズ)
4. 作業管理と休憩の取り方
長い時間同じ姿勢をとり続けると、腰に負担がかかります
- 45分程作業したら、伸びや座って行えるストレッチ体操を行う
- 休憩時は必ず立ち上がって軽い運動を実施
- 水分補給を意識的に行う


5. 生活習慣の改善
日常生活全般での注意点
- 日常生活の中に適度な運動習慣を取り入れる(ウォーキング、水泳など)
- 十分な睡眠時間の確保
- バランスの良い食事摂取
- 適正体重の維持
- 喫煙習慣がある場合は禁煙を検討
要注意サイン
以下の症状がある場合は、医療機関の受診をお勧めします
・足のしびれや痛みを伴う
・安静時でも痛みが続く
・体重減少を伴う
・発熱を伴う
・排尿障害がある
まとめ
デスクワークでの腰痛予防のポイント
1. 正しい姿勢の維持
2. 作業環境の整備
3. 定期的なストレッチと運動
4. 適切な休憩取得
5. 生活習慣の改善
予防は治療に勝ります。これらの対策を日常的に実践することで、腰痛リスクを大きく減らす事ができます。
症状が気になる場合は、早めに当院で理学療法士や医療専門家に相談することをお勧めいたします。
また、在宅ワークが増えている昨今、自宅での作業環境整備も重要です。オフィスと同等の環境を整えることで、自宅でも快適な作業が可能となります。
継続的な予防措置と定期的なセルフチェックを心がけ、健康的な職業生活を送りましょう。
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この記事は、医療法人社団 百年会の理事長、田部田 英之が監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任