変形性股関節症とは
変形性股関節症は股関節を構成する軟骨が減少し、骨の変形をきたす病気です。股関節の構造ついてご説明させていただきます。
股関節とは、両脚の付け根にある関節で、医学的に言うと大腿骨(だいたいこつ)と骨盤寛骨臼(こつばんかんこつきゅう)からなる関節です。大腿骨の上端にある骨頭(ボール状)が、お椀のような受け皿となる寛骨臼にはまるような構造になっています。
大腿骨と骨盤寛骨臼の間にある軟骨がすり減ることで痛みが生じたり、スムーズな動きができなくなったりし、股関節が変形している状態のことを「変形性股関節症」と言います。
患者の多くは女性のことが多いのですが、原因としては子供の頃の股関節の病気の後遺症や、股関節の形成不全が大部分を占めるとされてきました。
現代においては高齢化社会が進んでおり、子供の頃の要因だけでなく加齢や体重の増加なども原因として考えられています。
変形性股関節症の検査・診断
変形性股関節症の症状としては、足の付け根やお尻の痛みを感じます。立ち上がりや歩き始めに痛みを感じることが多いです。さらに、痛みの場所や可動域、両脚の長さの左右差を確認します。
問診にて上記の確認が取れた場合、レントゲン検査(単純X線検査)をおこないます。
レントゲン検査
レントゲン写真に写った関節のすき間の広さから軟骨の厚さや変形の状況などを確認します。
進行が進んでいると、骨棘と呼ばれる骨同士の摩擦・変形で生じる骨のトゲが形成され、レントゲン写真でも確認することができます。
治療方法
保存治療としては、内服薬による鎮痛がメインとなります。また初期の状態であるならば運動療法も重要です。
薬物療法
変形そのものを抑制するお薬がないため、関節の炎症を抑える消炎鎮痛剤(NSAIDs)を使用し、痛みの緩和を目指します。
運動療法
股関節周囲の筋力増強訓練や姿勢改善などの生活指導を行います。時には痛みが出る場合もありますが、痛いからといって休んでばかりいますと筋力も落ちてきてしまいますので、無理のない範囲でおこないましょう。
また運動に伴うダイエット効果も股関節の負担をへらしますので有効です。
股関節が痛い場合が全て変形性股関節症というわけではありません。
大腿骨頭壊死や骨頭軟骨下脆弱性骨折など、他の股関節疾患の場合や腰椎の疾患から股関節周囲の痛みをだしている場合もあります。
痛みや違和感を覚えた際、まずは一度医療機関へ受診をしましょう。