帯状疱疹の原因
帯状疱疹の主な原因は水痘ウイルスで、このウイルスは主にVaricella-zoster virus(VZV)として知られています。
水痘は通常、子供の頃に感染し、その後に体内に潜伏します。感染後、VZVは神経組織に入り込み、感染を克服しても完全に排除されず、神経節(神経細胞の集まり)に潜伏状態で残存します。
その後、年齢や免疫力の低下などが原因で再活性化が起こり、帯状疱疹が発生します。免疫力の低下は、加齢、ストレス、慢性疾患などが関与する要因です。
再活性化されたVZVは神経を移動し、神経の終末部分に炎症を引き起こし、その周囲の皮膚に帯状に疱疹が現れます。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の特徴的な症状は、激しい疼痛と皮膚に水疱が現れることです。この水疱は、感染が神経終末部分に局在していることを示します。疱疹が進行すると、水疱は潰れて傷跡が残り、疼痛が持続します。帯状疱疹は通常、一側の体の特定の部位に制限され、その部位を帯状に覆うように水疱が広がります。
帯状疱疹の皮膚の症状が治まった後も長期間にわたって続く痛みを帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。加齢とともに帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクは高くなり、50歳以上の患者さんの約2割が移行するという報告もあります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)によって生じる痛みは、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが知覚神経を傷つけることによって起こります。ウイルスによって傷つけられた神経の回復には時間がかかる場合があり、特に高齢者では症状も治療も長引く可能性があるため、帯状疱疹の発症自体を予防することの重要性は高いと考えられています。
予防のためには帯状疱疹ワクチンが重要です。水痘ワクチンは水痘と帯状疱疹の発症リスクを低減し、免疫システムを強化します。ワクチン接種は幼少期に推奨されますが、未感染者や水痘を患ったことがない成人も受けることができます。
帯状疱疹の予防
- ワクチン接種: 幼少期に水痘ワクチンを受けることで、水痘と帯状疱疹のリスクを軽減できます。成人でも未感染者はワクチン接種を検討するべきです。
- 免疫力の強化: 健康な生活習慣やバランスの取れた食事、適切な睡眠などで免疫力を強化することが大切です。
- ストレス管理: 長期間のストレスは免疫機能を低下させる可能性があり、帯状疱疹の発症リスクを増加させることがあるため、ストレス管理が重要です。
- 早期の医療相談: 症状が現れた場合は早期の医療相談が必要です。抗ウイルス薬や疼痛管理が適切な治療となります。
帯状疱疹は感染力があり、予防が重要です。適切な予防策を取ることで、感染のリスクを低減し、症状の重症化を防ぐことができます。
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この記事は、BIG TREE. 荻窪クリニックの院長、榎本達也が監修しています。
【資格】
ペインクリニック学会専門医
東京都かかりつけ医認知症研修終了
【経歴】
2005年 順天堂大学医学部卒業
2005年 公立学校組合共済 関東中央病院 内科研修医
2007年 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック 講座入局
2011年 順天堂大学大学院卒業(痛みと抗うつ薬に関する論文にて学位授与)
2014年 米国Boston scientific surgical centerにて脊髄刺激電極について研修
2015年 武蔵野陽和会病院 整形外科医員
2022年 BIGTREE.荻窪クリニック院長就任