『帯状疱疹とは』
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる疾患です。このウイルスは初めて感染した際には水痘(みずぼうそう)を引き起こし、その後、神経節に潜伏感染します。何年も経った後、免疫力の低下などの要因で再活性化し、帯状疱疹として現れることがあります。
『帯状疱疹の症状』
1.痛み
帯状疱疹の初期症状として、発疹が現れる前に痛み、灼熱感、かゆみが出ることがあります。
2.発疹
痛みを伴う水ぶくれ状の発疹が帯状に現れます。一般的には体の片側に沿って現れることが多いです。
3.神経痛
発疹が治まった後も痛みが続くことがあります。この状態を帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼びます。
『帯状疱疹の原因』
帯状疱疹は、ストレス、加齢、免疫力の低下などが引き金となり、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することによって発症します。
『帯状疱疹の薬』
★抗ウイルス薬
帯状疱疹のウイルスの増殖を抑えるために使用されます。発症後できるだけ早期に服用を開始することが重要です。
1. アシクロビル(ゾビラックス)
– 経口薬や点滴、軟膏の形で利用されます。
– ウイルスの増殖を抑制することで症状を軽減します。
2. バラシクロビル(バルトレックス)
– アシクロビルのプロドラッグで、体内でアシクロビルに変換され効果を発揮します。
– 経口薬として服用され、アシクロビルよりも吸収率が高いです。
3. ファムシクロビル(ファムビル)
– アシクロビルとは異なるメカニズムでウイルスの増殖を抑制します。
– 経口薬として服用されます。
★鎮痛薬
帯状疱疹に伴う痛みを緩和するために使用されます。
1. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
– イブプロフェンやアスピリンなど、軽度から中等度の痛みを緩和します。
2. アセトアミノフェン
– 比較的軽度の痛みに対して使用されます。
3. オピオイド系鎮痛薬
– 重度の痛みの場合、モルヒネなどのオピオイドが使用されることもあります。
4. ガバペンチンやプレガバリン
– 帯状疱疹後神経痛(PHN)に対して使用される抗けいれん薬です。
– 神経痛の軽減に効果があります。
★その他の治療
局所麻酔薬(リドカイン)
– クリームやパッチの形で使用され、痛みを局所的に緩和します。
ステロイド薬
– 強い炎症や痛みを伴う場合に短期間使用されることがあります。
★ワクチン
予防として、50歳以上の人々に帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。ワクチンは、帯状疱疹の発症リスクを大幅に減少させ、発症した場合でも症状を軽減する効果があります。
早期の診断と治療が、帯状疱疹の症状の軽減や合併症の予防に重要です
この記事は、BIG TREE. 荻窪クリニックの院長、榎本達也が監修しています。
【資格】
ペインクリニック学会専門医
東京都かかりつけ医認知症研修終了
【経歴】
2005年 順天堂大学医学部卒業
2005年 公立学校組合共済 関東中央病院 内科研修医
2007年 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック 講座入局
2011年 順天堂大学大学院卒業(痛みと抗うつ薬に関する論文にて学位授与)
2014年 米国Boston scientific surgical centerにて脊髄刺激電極について研修
2015年 武蔵野陽和会病院 整形外科医員
2022年 BIGTREE.荻窪クリニック院長就任