帯状疱疹そのものが人にうつる病気ではありませんが、水ぼうそうとして感染することはあります。
水ぼうそうに一度かかった人の体内に潜伏し、加齢やストレス、免疫力の低下をきっかけに再活性化して帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹の症状と経過

帯状疱疹は、皮膚のかゆみやピリピリする痛みといった神経の異常な感覚から始まることが多いです。
ピリピリ、チクチクといったしびれ程度のものからズキズキと響く痛みから焼けるような痛み、中には寝れないくらいの痛みまで種類、程度は様々です。
発疹や水ぶくれが出ると、徐々に痛みが増すこともあります。
2~4週間程度で水疱が破れ、皮膚症状がでてきます。皮膚症状が治った後も、神経の損傷によって「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる痛みが長時間続く合併症を引き起こすことがあります。
帯状疱疹は何歳から発症リスクが高くなる?
日本人成人の約90%以上が、すでに帯状疱疹ウイルスに感染した経験を持つとされており、帯状疱疹の発症リスクがあります。
50歳から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。
帯状疱疹はうつる?水ぼうそうとして感染する可能性とは
帯状疱疹を発症している人から、水ぶくれに直接触れた場合、水ぼうそうとして感染することがあります。
すでに水ぼうそうにかかったことがある人にはうつりませんが、子どもや妊婦、免疫が弱っている方は注意が必要です。

家族が帯状疱疹になったときの感染対策
- 患部をガーゼやテープで覆い、直接触れない。
- 患部の処置時には手袋・マスク・エプロンを着用し、使用後は手指消毒を徹底
- 使用したガーゼやテープはビニール袋に密封して捨て、周囲環境を汚染させない
- お風呂は、帯状疱疹にかかっている本人が最後に入るようにし、バスタオルや衣類は共用しない
帯状疱疹の予防にはワクチン接種も有効です

生ワクチン(乾燥弱毒生水疱ワクチン)
このワクチンは、1回の接種で長期間にわたり免疫がつきやすく、自然に感染したときと似た免疫反応が得られます。
ただし、免疫力が低下している人や免疫の病気がある人には使用できません。
- 接種回数: 1回のみ皮下注射
- 効果: 発症予防効果は50〜60%、効果持続は約5年
- 対象: 50歳以上の健康な成人
- 費用: 約7,000〜10,000円
- 注意点: 免疫不全の方や妊娠中の方には接種不可
組換えワクチン(シングリックス)
このワクチンは生きたウイルスを使っていないため、免疫力が低い人でも安心して受けられます。副作用が少なく安全性が高いのも特徴です。
ただし、接種は複数回行う必要があります。
- 接種回数: 筋肉注射を2回(2か月間隔)
- 効果: 発症予防効果は90%以上、効果持続は10年以上
- 対象: 50歳以上で免疫が弱っている方にも対応
- 費用: 約44,000円
- 副作用: 少なく安全性が高い
帯状疱疹はうつる?正しい知識と予防が大切です
帯状疱疹は「そのままの形ではうつりません」が、水ぼうそうとして他人に感染する可能性があります。
特に小さなお子さんや妊婦、免疫が弱っている方がいるご家庭では、感染対策と予防接種の検討が大切です。
ご家族や身近な人が帯状疱疹になったら、まずは正しい知識と対策を取りましょう。
帯状疱疹をほっておくと帯状疱疹後神経痛に悩まされ、帯状疱疹と長く付き合っていかなければならない為、少しでもこれは!?と思ったら早めの受診をおすすめします。
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この記事は、医療法人社団 百年会の理事長、田部田 英之が監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任