帯状疱疹は、子供のころにかかった水痘(みずぼうそう)を引き起こす「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」が原因で発症します。このウイルスはみずぼうそうが治癒した後も、神経節という神経の集まる場所に潜伏し続けます。そして、免疫力が低下した際に活性化することで、帯状疱疹として再発するのです。
ストレスはこの免疫力の低下に深く関係しており、帯状疱疹を引き起こす要因の一つとされています。
以下に、ストレスと帯状疱疹の関係について詳しくお伝えします。
1.ストレスが免疫力に与える影響
①ストレスと免疫システム
ストレスがかかると、体内ではコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは一時的に免疫反応を抑制する作用があるため、過剰なストレスが続くと免疫力が低下します。この免疫力低下が、帯状疱疹の再発を招く要因となります。
②ストレスによる自律神経の乱れ
慢性的なストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経が優位な状態を引き起こします。この状態では、体が常に緊張し、免疫システムの働きが弱まります。結果として、潜伏していた帯状疱疹のウイルスが再活性化するリスクが高まります。
2.ストレス以外の帯状疱疹の誘因
ストレスだけが帯状疱疹の原因ではなく、他にも以下のような要因が免疫力を低下させ、発症リスクを高めます。
- 加齢
加齢に伴い免疫機能が低下するため、高齢者は帯状疱疹を発症しやすくなります。 - 過労
肉体的な疲労も免疫機能を低下させ、ウイルスの再活性化を促します。 - 病気や治療
糖尿病やがん、免疫抑制剤の使用など、免疫機能を弱める病気や治療も発症リスクを高めます。 - 不規則な生活習慣
睡眠不足や偏った食事なども、免疫力を弱める原因となります。
3.ストレス管理の重要性
帯状疱疹を予防するためには、免疫力を高めることが重要です。特に、ストレスを軽減することは発症リスクを低減する有効な手段の一つです。以下は、ストレス管理の具体的な方法です。
- 十分な休息と睡眠
睡眠不足は免疫力を低下させる大きな要因です。1日7〜8時間の睡眠を確保し、体をしっかり休ませることが大切です。そうすることで、帯状疱疹の予防に繋がります。 - 適度な運動
運動も帯状疱疹の予防に繋がります。運動はストレスを軽減し、免疫機能を高める効果があります。有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギング)を定期的に行うと良いでしょう。 - バランスの良い食事
栄養バランスの取れた食事は、体の免疫機能をサポートし、帯状疱疹の予防になります。特にビタミンCや亜鉛を含む食品(柑橘類や魚介類)が免疫力向上に役立ちます。 - ストレス解消の趣味を持つ
趣味やリラックスできる時間を確保することで、心身の緊張を和らげ、免疫力の維持に繋がり、結果として帯状疱疹の予防になります。
4.帯状疱疹予防のためのワクチン
帯状疱疹の予防には、ワクチン接種も有効です。特に50歳以上の人や、ストレスの多い生活を送っている人に推奨されています。ワクチンにより、発症リスクを大幅に減少させ、発症した場合の症状を軽減することができます。
まとめ
帯状疱疹はストレスと密接に関係しており、ストレスによる免疫力低下がウイルスの再活性化を引き起こします。予防には、ストレス管理や生活習慣の改善が不可欠です。また、ワクチン接種も効果的な手段として検討する価値があります。ストレスを軽減し、健康的な生活を送ることで、帯状疱疹の発症リスクを下げることが可能です。
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この記事は、医療法人社団 百年会の理事長、田部田 英之が監修しています。
【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任