ばね指とは、指の付け根に痛みが生じたり、指を曲げたり伸ばしたりするとき(特に伸ばすとき)に引っかかってしまう疾患です。
進行すると指が固くなって動かなくなってしまいます。
まずは、なぜこのようなことが起こるかをご説明させていただきます。
指の動きのメカニズム
指を曲げたり、伸ばしたりするためには筋肉の収縮が必要です。
前腕(肘から手にかけて)の筋肉が収縮し、筋肉からつながっている腱が指の骨に付着しているため、指の曲げ伸ばしが可能となります。
先ほど説明したように、指を曲げる筋肉は前腕にあり、それが腱となり指に伸びています。
もし、腱が何にも囲まれずフリーな状態であった場合、指を曲げると、腱はたわんで浮き上がってしまいます。
そのため、腱が浮き上がらないように押さえつけておく構造が必要です。それが腱鞘(けんしょう)というものです。
掌側(しょうそく / てのひらがある側)の指に何ヶ所か、腱を押さえつけておく腱鞘があります。
腱鞘はベルトを押さえつけているベルト通しの役割と思っていただくのがよいでしょう。
ばね指はこの腱鞘があるために起こる疾患です。
手の使い過ぎなど腱が盛んに動くような状態が長期に及ぶと、腱を押さえつける役割の腱鞘が摩擦によって炎症を起こして腫れたり、腱自体が腫れたりしてしまいます。
その場合、腱が腱鞘に引っかかってしまい、自由に収縮することが困難となり、結果指の曲げ伸ばしが困難となります。
ほかにも更年期の女性や糖尿病、リウマチ、透析患者などにもこのような同じ状態が起こりばね指を発症してしまいます。
整形外科でのばね指の治療方法
治療法としては、局所の安静によって腱鞘や腱の腫れを抑える方法があります。
ひどい場合は、シーネによって強制的に安静にすることもあります。
さらに、原因となる腱鞘のある指の付け根の部分に消炎鎮痛剤の軟膏を塗りこむこともよいでしょう。
安静で症状が変わらない場合は、注射療法になります。
指の付け根の部分に原因である腱鞘があるので、そこにステロイドと局所麻酔薬を注入します。
ステロイドが炎症や腫れをとってくれるので、腱と腱鞘の動きがスムーズになり症状が緩和されることがあります。
ですが、手への注射のためやや痛みが強いことと、打ってすぐに症状が緩和されるわけではなく徐々に効果が出てくることが注意点です。
ばね指の手術療法
上記の治療でも効果がみられない場合、手術療法となります。
この手術は日帰りで行え、手術時間も10分以内と短時間で行えます。
体にメスを入れるという不安感さえ克服できるのであれば確実な方法と言えます。
手術の傷は1cmもない程度です。
ばね指の治療は、まず局所の安静や注射療法(ステロイド注射)です。
それでも効果がみられず、生活に支障をきたす場合、手術療法を検討されると良いでしょう。
当院では手術以外の治療は可能です。
まずは安静や注射で治療を行い、それでも難しければ手術ができる病院にご紹介いたしますので、まずは相談してみてください。