■整形外科的視点ーストレートネックってどんな症状なのでしょうかー
人の背骨は、本来くびから腰にかけてS字状になっており、くびの骨も緩やかなカーブを描くことで頭の重さを支えているのですが、それがまっすぐになっている状態のことを指します(整形外科受診でレントゲンを撮ることで知ることができます)。くびの骨のアーチが少なくなることで、様々な症状を引き起こすことがあります。
・くびの痛みや動きの制限
・肩こり、くびこり
・肩甲骨の痛み
・眼精疲労
・くびから腕、手にかけてのしびれ
■整形外科的視点ーなぜストレートネックになってしまうのでしょうかー
多くのケースでいわれているのが、スマートフォンをみる機会が多くなったことで生じることです。特にスマートフォンをみる際に下を向く時間が多くなり、頭を支えるためにくびにかかる負担が大きくなることで、くびの骨やそこから分かれる神経や血管を圧迫することで、くびの筋肉が硬くなったり、しびれのような神経症状、頭痛症状が生じていきます。
また、デスクワークが続くことによっても生じることがあります。パソコン作業が多くなることで、画面をみるためにくびを突き出すような姿勢や、肩が前かがみ姿勢を取ることが続き、その状態をそのままにしていることで様々な症状を引き起こすことにつながります。そして、ご自身の体の大きさに合わない机やいすを使用していることでも前かがみ姿勢
を引き起こす要因になるため、注意が必要です。
ほかにも、枕の高さが合わないことで、くびの支えが不十分(本来であれば休まるはずの筋肉に緊張状態が続く状態)になりやすく、くびの筋肉が緊張することで生じてしまうことがあります。
■ストレートネックの症状を引き起こさないようにするには整形外科ではどのようにしますか?
まずあげられるのが、同じ姿勢を続けずにストレッチを取り入れることです。特にスマートフォンやパソコンは長時間作業を続けてしまうことが多いため、筋肉が固まりやすい状態になります。その状態を放置したままでいると筋肉は硬いままとなり、それが神経や血管の圧迫を引き起こしてしまうことになります。
最も手軽にできることは、作業の合間に「伸び」をすることです。伸びをすることで硬くなった筋肉を和らげることにつながり、血流や疲労回復にも効果的です。
また、当院では服薬による症状の軽減や、リハビリによるストレッチや運動指導を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
この記事は、BIG TREE. 荻窪クリニックの院長、榎本達也が監修しています。
【資格】
ペインクリニック学会専門医
東京都かかりつけ医認知症研修終了
【経歴】
2005年 順天堂大学医学部卒業
2005年 公立学校組合共済 関東中央病院 内科研修医
2007年 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック 講座入局
2011年 順天堂大学大学院卒業(痛みと抗うつ薬に関する論文にて学位授与)
2014年 米国Boston scientific surgical centerにて脊髄刺激電極について研修
2015年 武蔵野陽和会病院 整形外科医員
2022年 BIGTREE.荻窪クリニック院長就任