変形性膝関節症

ご高齢になると、階段を登る時に膝が痛い、曲がりにくくなってきた、正座ができない、O脚になってきて気になるといった愁訴がある人が増えてきます。このような症状に当てはまる人は「変形性膝関節症」である可能性があります。

変形性膝関節症とは

膝関節は大腿骨(だいたいこつ/太ももの骨)と脛骨(けいこつ/すねの骨)によって形成されております。関節を作っているそれらの骨は、関節面においては骨の表面を関節軟骨が覆っています。これらの軟骨が、加齢や筋肉量の減少など様々な原因で削れた状態が変形性膝関節症です。体重の増加、過去の膝の外傷(半月板損傷や骨折など)、遺伝子の関与まで原因として指摘されています。

変形性膝関節症の検査・診断

問診や診察時に触診し、痛みの有無や腫れ、関節の動きの範囲などを調べます。さらに、レントゲン検査(単純X線検査)にて診断します。必要に応じて、MRI検査を行う場合もあります。

レントゲン検査

一般的な指標はKellgren-Laurence分類(KL分類)と呼ばれ、関節軟骨のすり減り具合によって5段階に分類されます。

ステージ0関節の隙間が十分にあり、正常な状態
ステージ1ステージ0と比べて大きな変化は見られないが、変形性膝関節症の疑いが見られる状態
骨棘(こっきょく)がみられる場合がある
※骨棘・・・軟骨が硬くなり骨化した「とげ」のようなもの
ステージ2関節の隙間が少し狭くなり、変形性膝関節症の初期段階で、
骨の変形はないが、わずかに骨棘が確認できる状態
ステージ3関節の隙間が狭くなり、正常な状態の半分以下の状態
骨棘の形成がはっきりと確認できる
ステージ4関節の隙間が75%以下と狭小が非常に進行している状態
大きな骨棘や骨の変更も顕著に認められる

治療方法

治療ですが大きく分ければ手術療法保存療法に分けることができます。

手術治療:人工関節、骨切り術などがあります。これらは入院しておこなうもので、入院期間も1ヶ月近くになると思われます。
保存療法:内服治療や外用薬、膝関節内へのヒアルロン酸注入などがあります。足底板や膝装具を作成することもあります。

薬物療法

内服薬は比較的短時間で効果を感じられますが、長期間使用すると副作用が懸念されるため、症状が軽くなったら軟膏などの塗り薬や湿布などの外用薬へ切り替えると良いでしょう。

関節内注射

膝の関節内にヒアルロン酸を注入します。ヒアルロン酸は関節の動きをなめらかにする役割として、関節内に含まれています。そのため、直接ヒアルロン酸を注射することで痛みの緩和が期待できます。

運動療法

膝の関節への負担を減らすためには膝関節周囲や股関節周囲の筋力を鍛えることが大切です。さらに、姿勢の改善も膝への負担軽減につながります。

装具療法

足底板(インソール)や膝関節装具(膝サポーター)によって痛みの改善を目指します。足底板を靴の中に入れ、体重のかかる場所を変えることで歩行時の痛みの緩和します。また、膝関節装具を使用することによって、膝関節の安定が保たれ、痛みを減らします。ですが、サポーターに頼りきりの生活を過ごしては筋力の低下を招きますので、注意が必要です。

当院の治療方針

当院では膝関節内へのヒアルロン酸注入に加え、リハビリによる筋力訓練を併用しております。再生医療も進んできているようですが、まだ確実な成果を上げることはできていないようです。よく患者さんに聞かれるのですがCMなどでやっているサプリメントは、鎮痛効果は少しあったとしても、軟骨を再生するようなものではないのでそこまでお勧めはできません。

尚、体重を減量することも大変有効な治療で、膝だけでなく、腰や股関節の痛みにも有効です。

しかしながら、ダイエットはなかなか一人でできるものではありません。当院には、パーソナルジムを併設しております。医療資格を持つパーソナルトレーナーがお一人お一人の身体の状態に合わせてトレーニングメニューを考えます。さらに、月に一度食事の栄養指導まであり、健康的な身体作りをサポートしています。興味のある方は、いつでも気兼ねなくご相談ください。

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