本日ご紹介するのが上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたんこっせつ / fracture of the proximal humerus)。
上腕骨近位端骨折は様々な年代で起こりやすい骨折です。みなさんも注意していないと骨折してしまう恐れがあります。
上腕骨近位端骨折はどんな年齢で多い?
様々な年代で骨折が発生するリスクがあり、高齢者では骨粗鬆症が強く関連しています。転倒した際に手をつくなどの軽微な衝撃でも、肩に負担がかかります。その際に、骨折することが頻繁にあります。また、先にお伝えした通り、高齢者の場合は骨粗鬆症が背景にありますので、単純な骨折でなく骨のかけらが複数ある粉砕骨折になることが多いです。
少年の場合は年齢的にまだ骨がしっかりと固まっていないので、転倒した際に手をついて骨折することがあります。青年の場合だけは骨の強度がしっかりとあるので、手をついただけでは骨折することはありません。高いところから落ちて肩をぶつけたり、肩を強く打ったりした時に骨折が発生します。
- 高齢者:骨粗鬆症が強く関連しています。転倒して手をついた時に発生しやすいです。
- 少年:骨折の仕方は高齢者と同様で手をついた時に発生します。
- 青年:高齢者、少年と異なり、直接肩にダメージを受けた時に骨折を起こします。
上腕骨近位端骨折はどのような治療をする?
まず、近位端骨折について説明させていただきます。近位端骨折はいくつかに分類することができます。
関節の中での骨折か、関節の外での骨折かで分けます。それぞれ名前がついています。関節の中での骨折は上腕骨頭骨折、解剖頚骨折に分類されます。関節の外の骨折は外科頚骨折、大結節骨折、小結節骨折に分類されます。
関節内というのは、とても血流が悪いところです。関節内での骨折は、栄養となる血液が肩の付け根となる骨頭に及ばず骨が壊死することがあります。また、安定した整復位を取れないことが多いため、手術の適応になることが多いです。
そして、上腕骨骨折の中でも一番多いのが”上腕骨外科頚骨折”です。繰り返しになりますが、転倒した際に手や肘をついて発生することが多いです。骨折した2〜3日後には上腕から胸にかけて出血班が広がります。
外科頚骨折(げかけいこっせつ)は外観上、肩関節の前方脱臼と似ている点があるので鑑別が必要になります。初診時には腋窩神経(えきかしんけい)や動脈の損傷がないか確認する必要もあります。
さらに、固定後は翌日から手指の運動を始めてもらいます。肩自体の運動を始めるのが腫れが消えた2週後になります。肩関節を完全に脱力させ振り子運動などを積極的に行います。骨自体の癒合には5~6週はかかります。