職業柄重いものをもったり、前傾姿勢でいることが多かったり、毎日長時間座って作業することがあるなど、さまざまな生活背景から腰の痛みに悩まされる方が大勢いらっしゃるかと思います。腰痛といっても、あらゆる病気の可能性がありますので、医療機関で原因をはっきりさせて、正しい治療をおこなうことが大切です。
腰椎すべり症とは
腰椎すべり症は、その文字通り連なっている腰の骨(椎骨)が前方にすべりだしてしまい、腰痛などさまざまな症状を引き起こす病気です。中高年の女性に多く、主に腰椎の4番目と5番目にみられます。椎骨のズレにより、脊柱管の中を通る馬尾神経や神経根などが圧迫される圧迫されることで、腰痛や下肢痛、下肢のしびれなどが引き起こされます。腰部脊柱管狭窄症に似ている疾患といえます。
腰椎すべり症の検査・診断
レントゲン検査(単純X線検査)やMRI検査、CT検査にて明らかにしていきますが、一般的に行われる検査はレントゲン検査です。
レントゲン検査
脊椎のズレを確認するため、状態を曲げたり伸ばしたりして、複数枚撮影していきます。
MRI検査
MRIというのは、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略称で、強力な磁力と電波を使って身体の中の状態を画像にする検査です。放射線被ばくもなく、人体に悪影響を与えることはありません。
CT検査
CTというのは、コンピューター断層撮影法(Computed Tomography)の略称で、回転しながら身体にX線を照射し、抽出されたデータをコンピューターで処理をおこない、身体の断面像が得られる検査です。
治療方法
手術療法と保存療法とありますが、まずは保存療法をおこなっていきます。保存療法には、薬物療法や装具療法、理学療法などがあります。
薬物療法
症状に応じてお薬の処方をおこないます。いわゆる、痛み止めと呼ばれる消炎鎮痛剤(NSAIDs)と湿布を一緒に処方したり、過剰に興奮している神経に作用し、脳への痛みの伝達をブロックする医療用麻薬を処方したりして、症状の緩和を目指します。
装具療法
コルセットを装着することで正しい姿勢を保つことができます、正しい姿勢により負荷が軽減し、腰の痛みの緩和が期待されます。
神経ブロック注射
患部に局所麻酔薬などを注入することで、症状を遮断(ブロック)し、痛みを緩和します。お注射のペースや回数は症状に合わせて決めていきます。
理学療法
ストレッチや腹筋を鍛える筋力訓練などをおこない、症状の出にくい身体づくりを目指していきます。
腰痛や下肢のしびれがある方は、そのままにせずお近くの医療機関にかかるようにしましょう。