神経根ブロックをしましょうとお話すると、「それめちゃくちゃ痛いやつですよね?」と不安がられる患者さんがいらっしゃいます。
そのくらい、神経根ブロック=痛いというイメージが定着しているようです。
まずは、神経根ブロックの適応とその方法について理解を深めることが大事です。
神経根とは?
ペインクリニックにかかる患者さんの多くは末梢神経の障害による痛みを抱えている場合が多いです。
人間の神経系は脳を出発し、それが脊髄へとなり背骨の中を下降していきます。
さらに、脊髄は下降しながら両側に神経根という分岐を出していきます。たとえばこの神経根は手の小指側に、これは肩の方へ、これは足の方へといったように分かれていきます。
これらは木に似ているように思います。木の幹は脊髄で、幹から出ている枝は神経根といったイメージです。
神経根の痛みはどのようにして起こるのか?
頚椎(首の骨)が変形すると、それが頚椎から手の方に出ていく神経根を圧迫し手のしびれや痛みがでます。この状態を頚椎症性神経根症と呼びます。同様に、腰椎に変形など加齢性の変化が起きると足の方に出ていく神経根が圧迫され足のしびれや痛みを出します。これは俗にいう坐骨神経痛です。
また帯状疱疹は末梢神経の障害をおこす代表的な疾患です。
これらは神経根、もしくはその周囲に痛みの根源がありますので、そこに注射をするのが一番効率がよい治療と言うことになります。
神経根ブロック注射
先ほどお伝えしたように神経根は脊髄から枝分かれした部分であり、そこを正確に注射するには医師の経験だけでは難しいです。
当院では、レントゲンもしくは超音波(エコー)を用いて神経根を見極めております。
まずは神経根がどこを通っているのかを正確に可視化することで短時間での神経根ブロックを可能にし、痛みの軽減に役立ちます。
神経根の位置を確認したら、はじめに皮膚の表面に細い針にて麻酔をします。その後、ブロック針を進めていきます。その際は、基本的にあまり痛みがありません。
ブロックの最後、針が神経に近づくとき(もしくは神経に針が触れるとき)に電気が走るような感じがあると思います。
患者さんみなさん、今までに感じたことのない様な感覚だと表現されますが、2度とやってほしくないくらい痛かったとは言われたことありません。
皮膚表面の麻酔をしっかり行い、針をゆっくり正確にすすめていくことで痛みの少ない神経根ブロックをできると思います。今後、受ける予定のある方も安心してください。
また、長年痛みやしびれでお悩みの方は医療機関にかかって痛みの原因を明らかにして、治療方法を検討されると良いでしょう。
痛みと上手に付き合っていくことで趣味なども継続して楽しめると良いかと思います。