周りから肥満だから生活習慣を変えるようにと言われるのですが、なにが原因でしょうか?肥満は生活習慣病ですか?

まず、生活習慣病とは何なのか簡単にご説明します。
生活習慣病とは、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が病気の発症に深く起因しており、それによって発症した病気の総称です。

生活習慣病は病気としてはっきりとした定義は存在せず、生活習慣とその病気との紐付きで示されることが多いです。
つまり、広義の意味として生活習慣病”という病名が存在し、細分化された狭義の意味として高血圧症糖尿病高脂血症などの病名があるという位置付けになります。

厚生労働省では生活習慣病を生活の習慣ごとに下記のように分類しています。

生活習慣病の分類

  • 【食習慣】インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等
  • 【運動習慣】インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等
  • 【喫煙】肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等
  • 【飲酒】アルコール性肝疾患等

“肥満”というのは食習慣運動習慣との紐付きが強い生活習慣病になります。

医療機関での肥満と肥満症の違い

ここで注意が必要なのは、”肥満“と”肥満症“は違うというところです。

肥満はただの状態であり、病気ではありません。
肥満状態(BMI≧ 25)と判定されたもののうち、健康を脅かす合併症が有る場合、または合併症になるリスクが高い場合、それは単なる「肥満」ではなく「肥満症」と診断され、医学的な減量治療の対象となります。

肥満症の診断基準に必須な合併症

耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症、痛風、肝動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脂肪肝、月経異常、妊娠合併症、睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群、整形外科的疾患(変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症)、肥満関連腎臓病など

医師から病名として”肥満”と宣告された場合、”肥満症”である確率は高いですね。すぐに治療を開始しましょう!

生活習慣病に関する研究

米国のハーバード公衆衛生大学院と、英国のケンブリッジ大学が中心となった研究チームによると、”過体重および肥満の寿命への影響について調べた大規模な研究で、重度の肥満では寿命が約10年短くなるおそれがあることが分かった”との発表があります。
また、”BMI25以上では、数値が5上昇するごとに死亡リスクは31%上昇する”という結果も発表されました。

生活習慣病・肥満まとめ

・生活習慣病は多種多様な病気の総称

・肥満は食習慣、運動習慣との紐付きが強い生活習慣病

・肥満と肥満症は違う

・肥満症と診断された場合、減量治療の対象となる

当院では医師や看護師、管理栄養士など専門職種が連携をとって、皆様の治療のサポートを行っています。
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