私の義理の母が帯状疱疹になってしまいました。帯状疱疹とはどのような病気でしょうか?

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus)による感染症で、子供のころには水痘(みずぼうそう)として症状を出しますみずぼうそうが治ってもウイルスは神経の中に潜伏しており、高齢になったり、ストレスや疲労などで免疫が弱ったりした時に神経に沿って活性化して発疹を作ります。神経に沿って発疹がでるので(帯状に)帯状疱疹といわれるわけです。

皮膚科での帯状疱疹の治療の種類

  1. 抗ウイルス薬(Antiviral Medications)
    帯状疱疹の初期段階で抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を投与することが一般的です。これは症状の軽減と治療期間の短縮に寄与することがあります。
  2. 鎮痛薬(Pain Medications)
    痛みの軽減のために鎮痛薬が処方されることがあります。重度の痛みがある場合、強力な鎮痛薬が必要な場合もあります。
  3. 軟膏 
    局所の炎症をおさえたり、発疹から出る浸出液を緩和したりします。

ペインクリニックでの帯状疱疹治療

上記は皮膚科にて行われる治療で、それでも難しい場合はペインクリニックに通院することになります。

ペインクリニックでは神経ブロック治療を中心に行うこととなります。

なぜならば帯状疱疹は神経に生じている病気であり、神経に麻酔をすることで緩和できる可能性があるからです。以下にペインクリニックにて行われているブロック注射の内容をお示しします。

1.硬膜外ブロック

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、背骨の中には、脳からつながる脊髄神経が走行しておりその外側を硬膜という膜が覆っています。

背中から針をさしてその膜の外側まで針を進めて局所麻酔薬やステロイドを注入します。幅広い鎮痛効果と麻酔効果が得られます。

2.神経根ブロック

脊髄神経は背骨の中を走行し、最終的には分岐して体の各所に広がっていきます。

帯状疱疹はすべての神経に起きるわけではなく、分岐した神経1.2本に起こる発疹です。
そこで超音波やレントゲン装置を用いてその神経を特定し、そこに注射をするのが神経根ブロックです。

硬膜外ブロックだと痛みと関係ないところまで麻酔が効いてしまうこともあるのですが、神経根ブロックの場合は注射の効果を限定して強く発現させることができます。

3.星状神経節ブロック

顔面の帯状疱疹に使用されることが多いです。
顔面の帯状疱疹には硬膜外ブロックや神経根ブロックを施行することはできません。

なぜならば顔面の神経は脳神経によって支配されておりそこに注射することは技術的に難しいのです。

そこで、首を走行している(のどぼとけの横くらい)交感神経を麻酔する注射を行います。それが星状神経節ブロックです。

これを行うことにより顔面の血流が増加し、痛んだ組織の回復を早めたり、痛み物質が減少したりすることが期待されています。

これらが帯状疱疹に行われるブロック注射です。実際には全身の状態によって医師が判断して治療を選びますのでよくご相談し納得して治療をされることをおすすめします。

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この記事は、医療法人社団 百年会の理事長、田部田 英之が監修しています。

【経歴】
2002年 慶応義塾大学医学部卒業
2003年 順天堂大学ペインクリニック入局
2006年 保谷厚生病院麻酔科長就任
2009年 BIGTREE.練馬クリニック院長就任

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