帯状疱疹の治療方法はどのようなものがありますか?


帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、ヘルペスウイルス科のウイルスである水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発生する感染症です。
このウイルスは、初感染時に水痘(水ぼうそう)を引き起こし、その後、神経節に潜伏します。潜伏していたウイルスが再活性化することで帯状疱疹が発症します。

『帯状疱疹の治療方法』

1. 抗ウイルス薬

抗ウイルス薬は帯状疱疹の治療の基本で、発症から72時間以内に開始することが推奨されます。

アシクロビル
一般的に処方される抗ウイルス薬。経口または点滴で投与されます。

● バラシクロビル
アシクロビルのプロドラッグで、より高いバイオアベイラビリティを持つため、服用回数が少なく済みます。 ファムシクロビル 同様に効果的な抗ウイルス薬で、帯状疱疹の治療に使用されます。

2. 鎮痛薬


痛みの管理も重要です。

●OTC鎮痛薬(市販の薬)
アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販鎮痛薬が使用されます。
 
●処方鎮痛薬
特に痛みが強い場合は、コデインやトラマドールなどの処方鎮痛薬が使用されることがあります。

●局所鎮痛薬
リドカインを含むクリームやパッチが痛みの緩和に役立ちます。

3. ステロイド薬

炎症を抑え、痛みを軽減するために、短期間のステロイド薬の使用が考慮されることがありますが、必ず医師の監督下で行われます。

4. 帯状疱疹後神経痛の治療


帯状疱疹後に続く神経痛(PHN)の治療も重要です。

●抗うつ薬
アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬が痛みの緩和に役立ちます。

●抗てんかん薬
ガバペンチンやプレガバリンなどの薬が神経痛の治療に使用されます。

●局所治療
カプサイシンクリームやリドカインパッチなどがPHNの治療に用いられます。

5. ワクチン

予防も重要です。
帯状疱疹ワクチン 50歳以上の成人にはシングリックス(不活化ワクチン)が推奨されています。
このワクチンは帯状疱疹の発症を防ぎ、症状を軽減します。

6. 一般的なケア

発疹のケアも重要です。 清潔に保つ 発疹ができた部位を清潔に保ち、感染を防ぎます。

● 冷湿布
冷やすことでかゆみや痛みを和らげます。

7. 生活習慣の改善

免疫力を高めるために、健康的な生活習慣を維持します。 十分な休息 体力を回復させるために十分な休息を取ります。 バランスの取れた食事 免疫力をサポートするために栄養バランスの良い食事を心がけます。


これらの治療方法を組み合わせて、帯状疱疹の症状を緩和し、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。医師と相談しながら、適切な治療計画を立てることが重要です。

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この記事は、BIG TREE. 荻窪クリニックの院長、榎本達也が監修しています。

【資格】
ペインクリニック学会専門医
東京都かかりつけ医認知症研修終了

【経歴】
2005年 順天堂大学医学部卒業
2005年 公立学校組合共済 関東中央病院 内科研修医
2007年 順天堂大学麻酔科学ペインクリニック 講座入局
2011年 順天堂大学大学院卒業(痛みと抗うつ薬に関する論文にて学位授与)
2014年 米国Boston scientific surgical centerにて脊髄刺激電極について研修
2015年 武蔵野陽和会病院 整形外科医員
2022年 BIGTREE.荻窪クリニック院長就任

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