腰部脊柱管狭窄症


腰痛は日本の国民病とも言われていて、日本整形外科学会の報告によると約3000万人もの方が腰の痛みを抱えているとのことです。ですが、一言で腰痛といってもその原因はさまざまです。

腰部脊柱管狭窄症とは

椎間板ヘルニアは比較的若い世代(20〜40歳)に多くみられるのに対し、脊柱管狭窄症は加齢による変形などが原因で起こることが多く、60歳以上の高齢者に多くみられます。下記のような症状がある場合、腰部脊柱管狭窄症の疑いがあります。

腰部脊柱管狭窄症の症状の特徴

・普段は痛みはほとんど感じられないが、少し歩いたり立っていたりすると足がしびれる

・しびれが出た際に、膝を曲げて少し前かがみの姿勢になると痛みは軽減される

脊柱管狭窄症とは、その名の通り「脊柱管」が狭くなってしまうことで痛みが出現します。脊柱管とは、背骨の中を通る脊髄(脳から続く中枢神経)の通り道(空洞)のことを指しています。つまり、脊髄は狭くなった通り道によって圧迫されることで痛みが出現します。

尚、狭くなる様式の分類として馬尾型神経根型に分かれます。前者は脊柱管の中心が狭くなります。(空洞の円形が小さくなる感じ)症状としては腰痛や間欠性跛行(歩いていると足が痛くなり止まると治る)が特徴的です。
後者は脊柱管の外側(末梢神経の出口)が狭くなるイメージで、症状としては片足のしびれや痛みが特徴的です。

分類特徴
馬尾型・脊柱管の中心がせまくなる
・腰痛や間欠性跛行がある
神経根型・脊柱管の外側がせまくなる
・片足のしびれや痛み

腰部脊柱管狭窄症の診断・検査

問診や診断にて、発症の時期やきっかけ、間欠跛行(歩行と休息を繰り返す動作)の有無などを確認します。さらに、画像検査としてレントゲン検査(単純X線検査)やMRI検査をおこないます。

レントゲン検査(単純X線検査)

レントゲン画像からは骨の変形やズレの有無、不安定性などを確認することができます。

MRI検査

MRI装置は磁気と電波を利用した検査機器で検査をおこないます。

レントゲンでは撮影できない椎間板などの軟部組織の撮影が可能であるため、脊柱管の狭窄部位椎間板の状態神経の圧迫の具合などを確認することができます。

治療方法

治療は大きく保存治療手術治療にわかれます。当院では保存治療をメインに行なっております。
内服治療から始めますが、効果が得られない場合は神経ブロック(硬膜外ブロック、神経根ブロックなど)を行い、疼痛の緩和をします。さらには、リハビリテーションも併用し、体幹の筋力強化や柔軟性の獲得をします。

薬物療法

一般的に、飲み薬としてロキソニンなどのNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬を処方します。

ビリビリ、ジンジンといった電気が走るような痛み(神経痛)の場合は、リリカやタリージェといったお薬を処方しますが、めまいやふらつきなどの副作用があるため、用法用量はしっかり守りましょう。

神経ブロック注射

患部に局所麻酔薬や消炎鎮痛薬を注入し、脊椎神経の痛みを遮断(ブロック)し、痛みを緩和します。注射後は麻酔が効いていてしびれが出ますので、30分程度ベッドで安静にしていたきます。

理学療法

お一人お一人の身体を評価し、姿勢改善やご自宅でできる簡単なストレッチの指導で体幹の筋力強化や柔軟性の獲得などをサポートします。

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