足の甲が腫れているのは”二分靭帯損傷(にぶんじんたいそんしょう)”?

「二分靭帯損傷」とは

二分靱帯損傷とは、足関節捻挫でよくある損傷の一つです。二分靭帯損傷は足の甲の外側が腫れる症状が特徴的です。また、二分靭帯が損傷している時は、踵骨(しょうこつ※かかとの骨)の前方突起という場所が裂離骨折している可能性もあります
そのため、二分靭帯の損傷が疑われた際は、MRIをすぐにとれなければレントゲン撮影が必要になります。二分靭帯の損傷なのか、踵骨前方突起の骨折で二分靱帯が損傷しているのかを鑑別する必要があります。

二分靭帯の付着部

二分靭帯は様々な靭帯形態があります。踵骨から立方骨(りっぽうこつ※足の甲の外側真ん中あたりに出ている骨)、舟状骨(しゅうじょうこつ)にかけて付着します。多くの場合、踵骨から立方骨に「踵立方靭帯」、踵骨から舟状骨にかけて「踵舟靭帯」が付着しています。踵骨から二股にわかれて付着するため「二分靭帯」という名前がついています。

■踵骨ー踵立方靭帯ー立方骨
■踵骨ー踵舟靭帯ー舟状骨

二分靭帯には個体差がある?

二分靭帯は大きく分けて3つに分けることができます。踵骨から舟状骨と立方骨に付着するものをType1といいます。踵立方靭帯が欠損するものを Type2 といい、踵舟靭帯が欠損するものを Type3 といいます。

Type1 : 踵舟靭帯と踵立方靭帯の両方が存在するもの
Type2 : 踵立方靭帯が欠損するもの(踵舟靭帯のみ存在)
Type3 : 踵舟靭帯が欠損するのも(踵立方靭帯のみ存在)

二分靭帯の形態

・踵舟靭帯
長さ約2㎝ 幅約0.5cm 厚さ約0.4㎝
・踵立方靭帯
長さ約1㎝ 幅約0.5cm 厚さ約0.2㎝

捻挫での臨床評価は?

レントゲンでは骨の評価をメインにするので、二分靭帯の個体差は影響がでませんが、軟部組織の描出に優れている超音波画像診断機(以下、エコー)では二分靭帯の個体差が問題になることがあります。二分靭帯にはバリエーションがあることから、エコー評価では解剖学的に区別が必要になります。
また先にも述べたように、踵骨の前方突起骨折と鑑別する必要があります。踵骨の前方突起骨折は、レントゲンの検査だとちょうど骨が重なり合い、観察することが難しいです。画像より確定的な診断をくだすにはMRIなどの追加の精査が必要になります。

二分靭帯のエコー検査

二分靭帯(背側踵立方靭帯)を評価する際には、何点か気を付けなければならないことがあります。
特徴的な骨のランドマークがないため、描出部位が正確な二分靭帯(背側踵立方靭帯)か判断が難しいです。描出方法としては、前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)を描出します。その後、一横指下方に移動すると二分靭帯(背側踵立方靭帯)が描出されます。

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