足関節捻挫の診療

足関節捻挫の超音波画像診断装置(以下、エコー)は最近ではとてもポピュラーな診察方法になりました。

ドクターが普段やっていること、経過を観察するために確認していくポイント、リハビリで役立つポイントをお伝えします。

足関節を見るタイミングによって診察方法が変わる?

足関節捻挫の診療に関わるにあって足関節を病期を分ける必要があります。受傷後24時間から72時間は急性期、亜急性期は急性期後からの固定終了までにかけてをさします。慢性期は治療終了から時間がたっても残っているものをさします。

足関節の病気分類

  • 急性期
  • 亜急性期
  • 慢性期:慢性足関節不安定症(CAI)など

急性期ではレントゲン撮影とエコー検査が主な検査になります。MRIも考慮されますが、クリニック外来だと撮影までに時間がかかるので”すぐに”必要な検査とは言えないかもしれません。もちろん施設にMRI検査ができる施設があれば、撮影をした方が安心でしょう。

足関節捻挫の外来急性期診療

足関節の急性期は、まず損傷部位の特定と損傷程度を判断する必要があります。

損傷部位は徒手的に①one finger test ②圧痛で判断します。one finger test とは患者自身に痛みの強い場所をさしてもらいます。損傷度が強いほど one finger test がぼんやりします。one finger test がぼんやりする際は圧痛を丁寧にみていきます。
徒手検査である程度の見当をつけたら、次は画像検査を行います。

画像検査はレントゲン目立つ骨折の有無を確認します。
エコーでは、靭帯の損傷度を評価することができます。靭帯の損傷度はレントゲンで評価することが難しいです。
以前はストレスを加えながら撮影するストレスレントゲン撮影というものがありました。現在ではほとんど行われていません。

足関節捻挫診療の手順

  1. one finger test
  2. 圧痛
  3. レントゲン撮影:骨傷の有無
  4. エコー検査:靭帯損傷の程度の評価

足関節捻挫の治療の歴史・治療

足関節捻挫の治療の背景は様々なものがありました。足関節捻挫の治療がはじまったころはとにかく、ギプス包帯やギプスシーネで固定して安静をとらせることが治療でした。時代が移り変わり、今度は足関節捻挫は手術の適応がプライマリーで選択される時代になりました。
現在では損傷程度によってファンクショナルトリートメントが行われます。ファンクショナルトリートメントとは動かしながら治療するものです(適応:カンヌス分類Ⅰ度以下)。テーピングやサポーターをしながらリハビリを行います。初期でファンクショナルトリートメントが必要になるのは足関節の損傷度を示すカンヌス分類でⅠ度損傷以下の分類になります。逆にカンヌス分類でⅡ度以上はギプス包帯やギプスシーネなどの外固定が必要になります。

捻挫での臨床評価は?

足関節捻挫の治療をおこなう上で、エコーでの評価が必ずといっていいほど必要になります。なぜならエコーがなければ正確な損傷度の評価をすることができません。主に足関節外側靭帯複合体を構成する前距腓靭帯と踵腓靭帯が損傷されます。後距腓靭帯は足関節外側靭帯複合体を構成しますが、損傷されるのは稀です。これらをエコーで正確に評価することが患者さまが望むいい治療に近づきます。

足関節の捻挫をした際は、当院の経験豊富な医師にご相談してみてください。

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